ぴヨナ=ぴコナの魔王家

 実はクロスの時代の聖王家と魔王家は、表裏一体というほど近い間柄です。魔王家の次期女王候補が聖王候補と恋に落ちるのがトレンド(PUSH!さんに掲載させていただいた年表にも書きました)となった後、聖王家と魔王家の姻戚関係が激増したためです。このことが、元々魔法にはそれほど強くなかった聖王家に莫大な魔力をもたらすことになります。
 クロスの父である現聖王がレイママである現魔王を振った理由の一つが、「姉弟同然で育ったのでお互い恋するには夢が見れない部分を知りすぎていた」ということでした。けれど、クロスの母親である現王妃が聖王の前に現れなかったら、二人は普通に結ばれていたかも知れません。ちなみに王妃は小さくて平たくて可愛らしい女性で、その「容姿の相違」が決定的理由だったとも言われています(笑)。
 魔王は唾をつけたも同然だった聖王の心変わり(?)に当然激怒し、振られた魔王のお約束となっている「振られた腹いせ挙兵」をしますが、それを止めたのが生まれたばかりのクロスでした。赤ん坊のクロスを一目で気に入った魔王は攻撃をやめ、クロスを心ゆくまで可愛がり、満足すると引き上げていったのです。ちなみにこのことが、クロスがどちらかというとグラマーな女性が好きになった原因ではないかと言われています。クロスは王子であったためか聖王の方針だったのか王妃との親子的繋がりが薄く、それをいわば代わりに満たしたのが魔王だったと言えるのでした。
 ちなみにレイも、プロットの段階では「恋人にするか、征服されるか、選べ」というキャラクターでした。